2026年10月、鹿児島市で生コンクリートの運搬を主力にしてきた創業40年の運送会社が、破産開始決定を受けたと報じられました。
報道によると、過去には年商1億円台を確保していたものの、近年は売上が減り続け、赤字も計上。2026年8月末に従業員8名全員を解雇して事業を停止し、負債総額は約1億2,000万円にのぼるとされています(南日本放送/TBS NEWS DIG、東京商工リサーチ調べ)。
これは決して特別な1件ではありません。いま、運送業の倒産は全国で増えています。

- 運送業の倒産が増えている理由(2026年の最新データ)
- 運送業の資金繰りが苦しくなりやすい構造
- 手遅れになる前に気づきたい危険信号
- 運賃交渉・公的支援・ファクタリングなど、打てる手
- ファクタリングを使うときの注意点
【データで見る】運送業の倒産は2年ぶりに100件超え
東京商工リサーチの調査によると、2026年1〜4月の「道路貨物運送業」の倒産は108件で、前年同期より11.3%増えました。同じ期間で100件を超えたのは2年ぶりです。
| 項目 | 2026年1〜4月の状況 |
|---|---|
| 倒産件数 | 108件(前年同期比11.3%増) |
| 負債総額 | 106億6,000万円(同10.4%増) |
| 人手不足が原因の倒産 | 23件(調査を始めた2013年以降で最多) |
| 物価高が原因の倒産 | 19件(同26.9%減) |
| 負債1億円未満の倒産 | 76件(全体の約7割) |
| 従業員5人未満の倒産 | 53件(全体の約5割) |
出典:東京商工リサーチ「2026年1-4月の『道路貨物運送業』倒産」(2026年5月19日公表)
また、業種を問わず全国で見ても、2026年上半期(1〜6月)の倒産は5,346件で5年連続の増加となり、上半期として5,000件を超えたのは12年ぶりです。倒産した企業の9割以上が、従業員10人未満の小さな会社でした。
出典:東京商工リサーチ「2026年上半期(1-6月)の全国企業倒産」
冒頭の鹿児島の運送会社も、「従業員10人未満」「負債1億円前後」「売上の減少が続いた」という点で、まさにこの統計の典型に重なります。
運送業の倒産が増えている3つの理由
1. ドライバー不足と人件費の上昇
2024年4月からトラックドライバーの時間外労働に上限が設けられ(いわゆる「2024年問題」)、1人のドライバーが運べる量が減りました。人を増やそうにも採用は難しく、賃上げをすれば人件費が重くなります。東京商工リサーチの調査でも、人手不足による倒産は過去最多となっています。
2. 燃料費の高止まり
同調査によると、軽油価格は2026年2月末の1リットル140円台から、4月下旬には150円台後半まで上がりました。中東情勢の影響もあり、燃料費の負担が続いています。
3. 運賃にコストを転嫁しきれない
燃料費や人件費が上がっても、荷主との力関係から運賃を上げられない会社は少なくありません。コストだけが増えて利益が残らない状態が続くと、体力のない小さな会社から苦しくなっていきます。
運送業の資金繰りが苦しくなりやすい構造
運送業には、売上が立っていても手元のお金が足りなくなりやすい構造があります。
- お金が先に出ていく:燃料代、ドライバーの給料、高速代、車両のリースやローンは毎月必ず支払う
- 運賃の入金は後になる:荷主からの支払いは、月末締め・翌月末払いなど、運んでから1〜2か月後になることが多い
- 車両の修理や買い替え:トラックの故障や車検など、まとまった出費が突然発生する
つまり、仕事が増えるほど先に出ていくお金も増えるため、「忙しいのにお金が足りない」という状態に陥りやすいのです。売上が減り始めると、この時間差がさらに重くのしかかります。
黒字でもお金が足りなくなる仕組みは、サイト負けとは?黒字でも資金が足りなくなる理由と対策で詳しく解説しています。
手遅れになる前に気づきたい危険信号
- 売上が2期続けて減っている
- 本業の赤字(営業赤字)が続いている
- 給料日や支払日の前に、毎月のように資金が足りなくなる
- 税金や社会保険料の支払いが遅れ始めた
- 運賃の値上げ交渉を、何年もしていない
- 車両の修理や買い替えを先延ばしにしている
ひとつでも当てはまるなら、早めに手を打つべきタイミングです。資金繰りの対策は、余力があるうちほど選択肢が多いからです。
資金繰りが行き詰まる前にできること
1. 運賃の値上げ交渉をする
根本的な対策は、コストに見合った運賃を受け取ることです。交渉の根拠として使えるのが、国土交通省が告示している「標準的運賃」です。2024年3月の改定で、運賃は平均約8%引き上げられ、荷待ちや荷役の料金、燃料サーチャージの考え方も盛り込まれました。
さらに、2026年1月に施行された取適法(中小受託取引適正化法、改正下請法)では、荷主から運送会社への運送の委託も新たに対象になりました。運送事業者に関係する主なポイントは次のとおりです。
- コスト上昇を理由に協議を求めたのに、荷主が応じずに一方的に代金を決める(据え置きを含む)ことは禁止
- 支払期日は、受領から60日以内のできるだけ短い期間で定める必要がある
- 手形による支払いは禁止
- 荷積み・荷下ろしなどを無償でさせることは、問題になるおそれがある
「取引を切られるのが怖くて言い出せない」という声もありますが、いまは法律が交渉を後押ししてくれる状況です。違反が疑われるときは、公正取引委員会や国土交通省に相談でき、相談したことを理由に不利益な扱いをすることも禁止されています。
2. 公的な相談窓口に早めに相談する
資金繰りや経営の立て直しは、ひとりで抱え込まずに専門家に相談しましょう。
| 窓口 | こんなときに |
|---|---|
| よろず支援拠点 | 国が設けた無料の経営相談所。売上改善やコストの見直しなど、経営全般の相談に |
| 中小企業活性化協議会 | 借入れが重くなっている、経営状態が悪化しているなど、事業の立て直し(事業再生)の相談に |
| 日本政策金融公庫 | 運転資金や設備資金の融資の相談に |
| 取引先の銀行・信用金庫 | 返済条件の見直し(リスケジュール)や追加融資の相談に |
3. 運賃の入金を待てないときは、ファクタリングでつなぐ
荷主からの入金は確実に見込めるのに、燃料代や給料の支払いが先に来てしまう。そんな入金と支払いの時間差を埋める方法のひとつが、ファクタリングです。
ファクタリングは、荷主に対する運賃の請求書(売掛金)をファクタリング会社に買い取ってもらい、入金日より前に現金化する方法です。借入れではないため、決算書の負債は増えません。また、審査では荷主の支払い能力が重視されるため、自社が赤字でも利用できる場合があります。
ファクタリングの仕組みはファクタリングとは?で詳しく解説しています。
ファクタリングを使う前に知っておきたい注意点
ファクタリングは便利な一方で、使い方を間違えると資金繰りをかえって悪くします。
- 根本的な解決にはならない:ファクタリングは入金の時間差を埋める道具です。売上の減少や赤字そのものは解決しません。毎月のように使い続けると、手数料の分だけ利益が削られていきます
- 手数料を必ず比べる:2社間ファクタリングは3社間より手数料が高くなりやすいため、複数の会社で見積もりをとりましょう
- 償還請求の有無を確認する:荷主が払わなかったときに買い戻す約束(償還請求)がある契約は、実質的に貸付けとみなされるおそれがあります
- 破産が近いなら、まず弁護士に:破産が避けられない状況で売掛金を急いで現金化すると、あとで問題になることがあります
破産が近いときの注意点はファクタリングを利用中に破産するとどうなる?で、違法な業者の見分け方はファクタリングは違法?貸金業ではない理由と、違法になる3つのケースでまとめています。

運送業でファクタリングを使うなら
まとまった金額をはじめて調達する場合は、担当者と直接話しながら進められる会社を選ぶと安心です。運送業の請求書を扱った実績があるかどうかも確認しましょう。
運送業でのファクタリングの使い方は、運送業(運輸業)のファクタリング活用法でも紹介しています。
当研究所では、目的別におすすめの会社を目的別ファクタリング会社ランキングにまとめています。迷ったら、まずはここから2〜3社を選んで、条件を比べてみてください。


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| 対応エリア | 全国 |
| 拠点 | 東京本社 東京都港区芝大門一丁目2-18 野依ビル3階・4階 仙台支店 宮城県仙台市青葉区本町一丁目12-7 三共仙台ビル3階 大阪支店 大阪府大阪市北区堂山町1-5 三共梅田ビル9階 福岡支店 福岡県福岡市博多区御供所町2-60 テクニカハウス福岡3階 |
| 取引形態 | 2社間取引/3社間取引/ 注文書取引/診療報酬・介護報酬取引 |
| 運営会社 | 株式会社ビートレーディング 代表取締役 鈴木 秀典 代表取締役 佐々木 英世 |
| 設立 | 平成24年4月 |
| 資本金 | 7,000万円 (資本準備金5,000万円) |
| 公式ページ | https://betrading.jp/ |
まとめ
- 2026年1〜4月の運送業の倒産は108件で、2年ぶりに100件を超えた。人手不足による倒産は過去最多
- 倒産の多くは、従業員が少なく負債1億円未満の小さな会社
- 運送業は、支払いが先・入金が後になりやすく、「忙しいのにお金が足りない」状態に陥りやすい
- 売上の減少や営業赤字が続いたら、余力があるうちに手を打つ
- 標準的運賃や取適法を根拠に、運賃の値上げ交渉を
- よろず支援拠点や中小企業活性化協議会など、公的な窓口にも早めに相談を
- ファクタリングは入金の時間差を埋める「つなぎ」として使い、手数料と契約内容を必ず確認する
40年続いた会社でも、売上の減少とコストの上昇が重なれば、数年で立ち行かなくなることがあります。「まだ大丈夫」と思えるうちに、できることから始めてください。

