キャッシュフロー経営を考える上で、最も大切なことは「売掛金の入金のタイミング」です。
売掛金の回収については以下の記事で語っていますので参考にしてください。
参考⇨売上代金の入金はどのタイミングがベストか?売掛金とキャッシュフローのバランス
さて、ここではキャッシュフロー経営のもう一つの肝である「仕入れ資金(買掛金)の支払いタイミング」について解説します。
仕入れが「安く仕入れることができればオールOK」ではない理由
商品をどのような流通ルートで仕入れるか?
同じ商品でもどれだけ安く仕入れることができるか?
これらのことは、事業(商売)をしていく上で、非常に重要なことです。
ある経営者の加藤社長からこんな相談をいただきました▼
私はアパレル関連の販売業の会社経営者です。
現在は商品の種類によって仕入先が幾つかあり、支払いの時期もいろいろです。
できるだけ仕入先を絞って支払いの時期も毎月大体同じにしたいと考えているのですが、それに当たって何かポイントはありますでしょうか?
加藤社長は、支払いのサイクルが買掛金によってバラバラである事に“むずがゆさ”を感じていらっしゃいました。
しかし、資金繰りの観点から見ると、大切なことは買掛の支払いを合わせることではなく、いかにキャッシュを手元に残しておくか?なのです。
例えば、100円で仕入れた商品を150円で売り上げたとします。
結果的に50円の利益を得る計算になりますが、これを計算式で表現すると・・・
「粗利益=売上ー仕入れ」
と、こうなります。
全く同じ商品を仕入れるのであれば1円でも安いに越したことはありません。
しかし、資金繰りの点から考えると、少しばかり勝手が違ってきます。
以下のようなケースをイメージしてみてください。
- 商品を現金100円で仕入れる
- 商品を110円で仕入れ、支払いは半年後
あなたの会社がキャッシュが潤沢で、これからもキャッシュフローが滑らかであり続けるなら、1番を選択するでしょう。
仮に売値が150円ならば、1番は50円の利益、2番は40円の利益となり、数を出せば出すほどに明らかな利益差が出るからです。
しかし、あなたの会社の資金がそれほど潤沢ではないケースであれば、2番を選択した方が良い場合もあります。
この1番と2番・・・どちらを選択するかは一概には言えません。
が、自己資金の状態や会社の社内留保(プール資金)、それから取引先との関係などで変わってきますね。
ですが、会社にキャッシュがあろうがなかろうが、よく考えなければならないのは、仕入れ代金を支払うタイミングなのです。
買掛金は資金調達と同じ効果があることを知る
買掛金は、売上の反対で、
と、こんな具合の流れになりますね。
注目していただきたいのは、商品を仕入れても買掛金を支払わない限り手元の資金はなくならないということです。
会社の賃借対照表(バランスシート)の買掛金が明記されている部分に残高があれば支払うべき仕入代金が溜まっていることになります。つまり、取引先に待ってもらっているわけです。
これは資金繰りの観点から見ると、面白いことに相手から資金を調達していることと同じ効果であると言えます。
売上代金の入金はどのタイミングがベストか?の記事にも書きましたが、売上が月に100万円、仕入に80万円必要なケースで考えていきます。
売上100万円、内仕入に80万円。売上が翌月末に入金されるのならば当月の資金が最低でも80万円必要ということになりますね。
翌々月末の入金なら160万円、3ヶ月後の入金なら240万円必要・・・と時間と共に増加していくものです。
ですが、このケースは現金仕入の場合を前提としています。
もし、仕入の支払いが売上と同じように翌月末払い、翌々月末払い、3ヶ月後払いだったらいかがでしょうか?
多くの経営者の方であれば、ご存知でしょうが、買掛金の支払いサイトを管理し、会社内のキャッシュとのバランスを取ることで、ほぼ資金が必要ではなくなることになります。
さらに支払いを遅くすることができれば、会社にはキャッシュが貯まります。そのタイミングでさらに仕入れが可能になり、ビジネスの枠を広げることも可能なのです。
それから、金融機関からの資金調達と決定的な違いがあります。
そうです。
それは金利がかからないということです。
支払いのタイミングひとつでこんなにもビジネスに差が出る可能性がありますから、冒頭でお話しした加藤社長のように、なんだか生理的に感じる“むずがゆさ”を解消するために、支払いサイトを短くする必要はありません。
資金繰りの基本は「売上回収は早く、支払いは遅く」なのです。
まとめ
ということで、仕入れ資金(買掛金)の支払いのベストタイミングについて記事にしました。
実際のビジネスの現場では、相手があることですから理屈通りにはいかないことが多々あるでしょう。しかし、そう諦めずに極力理想の形に持っていくように努力することがキャッシュフロー経営の基本なのです。
事業には、資金繰りが必要な場面が多分にあるでしょう。
私が若い時に経営していた会社では、私は社長として毎日資金繰りに奮闘していました。
キャッシュが枯渇していたからです。
若かった私にとっては、売上は上がっていて事業はうまくいっているのに、なぜ金が足りないのか!!?と疑問だらけでしたが、現実にキャッシュがなく、なければ会社を潰すしかないので、ありとあらゆる手段で資金調達をしていました。
ですが、そのうち取引銀行からは追加融資を否決にされ、場末ではあろうことか個人名義のキャッシングを運転資金に充てたこともありました。資金に対するストレスがあまりに大きかったことと、資金繰りに疲れてしまい、なるべく簡単な方法での資金調達に走ってしまったことが原因でした。
あるとき、知人からの紹介で「経営コンサルタント」という肩書きが名刺に書いてある方と出会いました。
経営コンサルなんて、今の時代では当たり前ですが、当時はなかなかお目にかからない肩書きで胡散臭さいっぱいでした(笑)
ですが、その方の勧めで、会社のバランスシートの作成を一から実行し、会社にとって必要な資金と不必要な資金との仕分けが出来ました。
私が言うところの「資金の色分け」です。
そして、会社のキャッシュフローを圧迫していた売掛金を一度整理するために「ファクタリング」を実行しました。
これらの影響で、それからキャッシュフロー経営を意識するようになりました。
「会社には今現在、一体いくらのキャッシュがあるのか?」
「来月、大きく動かせるキャッシュはいくら準備できそうか?」
すべての視点がキャッシュ中心になったことで、それからは嘘のように資金繰りに悩まされることは無くなりました。
当サイトはキャッシュフロー経営とファクタリングを専門に取り扱っています。
あなたの会社のキャッシュフローを改善させるためにファクタリングは使えるかもしれません。
もちろん、資金繰りの一環としても使えます。
ただし、「使えるかどうかは査定してみないとわからない」というのが現実ですので、あなたの会社のキャッシュフローを圧迫している売掛金を売却の対象にできるかどうか?をまずは査定してみるべきでしょう。
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