中小企業が格式を得るために、メインバンクを都市銀行へと切り替えたいという要望を耳にすることがあります。
ちなみに、結論から言うと、中小零細企業が都市銀行をメインバンクにすることはあまりお勧めできません。
このページでは、中小企業と都市銀行との関係づくりや融資の受けかたについて解説しています。
最近、関東近郊の投資家が北海道の物件を購入する割合が5割ぐらいになりました。
物件売買の決済銀行は、都市銀行が大半を占めます。そこで、弊社においても都市銀行に口座を開設し、
さらに将来的に資金調達までしていきたいのですが、今何をするべきでしょうか?
中小企業が都市銀行と取引するための注意点
一般的に都市銀行との取引は中小・零細企業の場合はなかなかできないものです。
しかし、御社の場合は例外で、取引相手が都市銀行を決済銀行として利用しているため自然な流れで取引をすることができます。
口座を開設するときには、同時に融資窓口にも出向き、担当者に会社の概要や決算書の内容、今後の展望などについて話す機会を持つことが必要です。また、都市銀行に訪問するか、御社に訪問してもらうか、いずれかにより月に1度は接触する機会を持つことが重要です。
そこからお互いの信頼関係を構築していくのです。
メインバンクとサブバンクには配慮が必要
今後、御社が取引する上で注意しなければならないのは、メインバンクとサブバンクに対する配慮です。
預金を不規則な方法で都市銀行に移したり、引き落とし口座を変えたりするのは危険な行為です。
既存の取引金融機関との今までの流れを崩さないように、またそれぞれの取引金融機関の役割を認識した上で変更していく必要があります。そうしなければ、それぞれの金融機関から融資を受ける際に悪影響が生じる恐れがあります。
つまり、取引を開始したからといって、すぐに都市銀行をメインバンクにすることはお勧めいたしません。
都市銀行には恩を売れ
都市銀行から資金を調達するためには、売上入金や引落とし手続きだけではなく他の業務を通して関わりを持つことも重要です。
都市銀行との関わりを強くするポイント
- 入金額の中から一定額を定期積金とする
- 社長の口座を開設し一定額を預金する
- モバイルバンキングを導入する
- 都市銀行の法人カードを作成する
- 投資信託などの金融商品を購入する
- 取引先などの紹介
- ビジネスローンからの融資を受ける
御社が都市銀行に 対して貢献度を上げるためには、これらを一括で処理するのではなく、取引状況に応じて継続的に一つ一つ受け入れていく必要があります。
上記①〜⑦の事項を一括で処理すると、金融機関側からすると、取引が終了する時も、一括で終了してしまうのではないか…という不安を持つことがあるのです。
都市銀行からの融資の受けかた
都市銀行からの融資の受け方ですが、まずは上記⑦のビジネスローンを借りて様子を見るというものが一般的な流れです。
このローンは3年〜5年の返済期間がほとんどですので、最低金額で最短の返済期間で返済を完了させることができれば一つの実績となります。
最近、都市銀行の行員はこのビジネスローンの取引先の獲得に四苦八苦しています。
いわゆるサブプライム問題が表面化して以降、この商品の取り扱いが極端に減少してきたのも事実です。
会社の経営状況が良い状態でない限り、なかなかこの商品を利用するのは難しいというのも現状といえるでしょう。
中小企業が都市銀行から資金調達するには時間がかかる
ここまで、中小企業と都市銀行との関係性について解説をしてきましたが、結論を言うと中小企業と都市銀行には大きな壁があると考えて良いでしょう。
今回の相談者の方のように、取引上、都市銀行を利用することは可能ですが、地方銀行のように親身に寄り添った対応は期待できません。※親身になってくれるまでには相当な時間が必要
つまり、同じ取引を続けていくのであれば、地方銀行への恩を積んで行った方が利があるのです。
都市銀行を利用する最大のメリットは、その信頼性と巨額の融資金でしょう。
しかし、多くの中小零細企業にとって、それほどの”金融機関からの信頼性”も、億単位の融資金も必要ないのでは?
まずは地方銀行との関係性をより強固なものにすることが先決かもしれません。