数回に分けてお話ししている「バランスシート攻略術」ですが、今回は「貸し倒れが発生した時の対処法について詳しく解説していきます。
前回記事はこちら|バランスシート攻略術③ 過大な設備投資は命取り!
貸し倒れは資金繰りを苦しくする最大の原因であり、難題は「極めて想定がしづらい」という属性があります。
しかも、一歩間違えば連鎖倒産に巻き込まれてしまうほど重大です。
バランスシートを活かしてどのような対処が考えられるのか?をまとめます。
- 売掛金
- 在庫管理
- 設備投資
- 貸し倒れ ⇦ココ!
- 利益不足
- 経費
万人に突然 起こる得る「貸し倒れ」の恐怖
得意先が倒産してしまい、売掛金が回収不能になってしまいました。
突然の出来事なので、全く想定していませんでした。
資金繰りも当然きつくなってしまい、どうすれば良いのかわからない状態です。
貸し倒れ対策はどのようにすれば良いのでしょうか?
たいていの場合、得意先の倒産は突然起きますから、対策を立てるだけの時間的余裕がないのが普通です。(そもそも、資金ショートを事前に予期し、対策を立てることができるような会社は倒産などしません)
貸し倒れが発生するということは、昨日まで入ると思っていたキャッシュが入金当日になって突然入らなくなることを意味します。
貸し倒れは『想定できない』からこそ、恐ろしいのです!!
ですが、想定できないからといって泣き寝入りしていたのでは、経営者としての名が廃ります。
貸し倒れを発生させないための最良の方法は、倒産するような会社とは取引をしないことです。
しかし、取引先が倒産するのかしないのか?倒産するとしたらいつするのかを正確に予測することは不可能ですね。
一部上場の優良企業でさえ、ある日突然倒産!!というようなご時世ですから・・・
全ての会社が倒産する可能性があるのでは??と疑っていたら商売などできたものではないですし。
そこでまず、貸し倒れが発生したとしても、いくらまでなら自社が耐えられるのか?を検討するところから始めましょう。
バランスシートを活用しつつ「貸し倒れ」に備える
予測がしづらい貸し倒れを予測する方法がありますから、ご紹介します。
①自社に定期預金や倒産防止共済、保険など、いざという時に使えるキャッシュがいくらあるのか?をざっと見直してみてください。
②次に、債権額が多い順に得意先を並べ直します。そして、上から順番に信用調査をしていってみましょう。
民間の信用調査機関に頼めば、数万円の料金で得意先の信用レポートを作成してくれます。
それを参考に、自分たちでも情報を集め、このまま取引を続けても問題がないかどうか?を判断してください。
もし、その中で取引継続に問題がありそうな得意先があったら、取引を縮小したりして対応しなければなりません。
特に、上述した「自社の限度額」以上の債権がある場合には要注意です。限度額内まで債権額を縮小するような措置を講ずるべきです。
信用調査で難色が出た企業の手形割引には要注意!
「貸し倒れ」を考える上でさらに気をつけていただきたいのは「手形割引」です。
割引に出した手形が不渡りになった場合、原則として銀行から即時の買い戻しを求められます。
買い戻すまでに融資の交渉にも一切応じてもらえません。
これは資金繰りにとっては致命的です。
それもそうです。
手形割引をした上で資金繰りが正常に回っているのですから、買い戻しをすれば、本来であれば今 使えると考えていたキャッシュが出て行ってしまうからですね。
もし、これが同じ不渡り手形でも、割引に出さずに期日まで持っていたなら、将来使えるはずのキャッシュが使えなくなるだけですから、対策を立てるだけの時間的な余裕が生まれます。
ですから、経営に問題がありそうな得意先の手形は絶対に割引に出さない!ということが鉄則です。
まとめ
ということで今回は、不測の事態である「貸し倒れ」の対処法について紐解きました。
バランスシート(賃借対照表)を活用すれば、ある程度は予測を立てることができますが、それもあくまで予測の範囲を出ません。貸し倒れを完全に予知することは不可能です。
ですが、起こってしまったからには、なんとか対応策を講じて乗り切らなければ連鎖倒産してしまいます。
その貸し倒れ金が、あなたの会社の“体力的資金”を上回っている場合、緊急の資金繰りが必要です。ですが、実際に貸し倒れが発覚した際には銀行などへ駆け込んだとしても時間的余裕がない例が多いでしょう。
即日〜3日以内に、数百万円〜の資金調達を考えるのであれば、ファクタリングがベストな選択です。
ファクタリングであれば、あなたの会社のバランスシートに「負債」という名の悪影響も与えずに済みます。
次の記事はこちら|バランスシート攻略術⑤ 利益不足は事業の根幹に関わる問題!
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