あなたの会社では受取手形を使っていらっしゃいますでしょうか?
受取手形はうまく使うと便利なものですが、大抵の場合は資金繰りを苦しくしてしまう原因となります。
資金繰りの観点から見た、受取手形の対処法について書いておきます。
手形がキャッシュになるまでに要する期間
手形が資金として使えるキャッシュとなるまでには、現金取引よりも売掛取引よりも長い時間が必要です。
売上代金の入金は、通常ですと・・・
- 請求日
- 入金日
という流れを踏みますね。
この場合の1と2の期間は、請求はしているが入金がない「売掛金」の状態となります。売掛の状態の時間が長ければ長くなるほど会社のキャッシュが塩漬けにされ、資金繰りが苦しくなります。
さらにこれに、受取手形の取引が加わると・・・
- 請求日
- 手形取引日
- 手形期日
と、こんな具合になります。
先述した売掛の状態ですと、「2.入金日」のタイミングに「手形取引日」となるわけですから、キャッシュの代わりに受取手形が入ってくることになります。言うまでもなく、受取手形は現金ではないため使い勝手は悪くなります。受取手形が現金になるのは、「3.手形期日」になってからです。
つまり、資金化するまでには、1〜3までの期間を要することになります。当然ながら、前者と比較すると期間は長くなります。
受取手形を受け取った場合の3つの対処法
受取手形をもらった場合の資金繰りの対処法ですが、3つの手法が考えられます。
- 受取手形として受け取る金額に見合った運転資金を金融機関(などの外部)から調達する
- 受取手形をそのまま支払いに回す(裏書手形)
- 受取手形を金融機関で割引を行い資金化する
受取手形は、その期日まで持っていないとキャッシュになりません。
仮にあなたの会社が今まで請求から手形の受け取りまで1ヶ月サイトで、その受取手形の期日が3ヶ月とすると、丸3ヶ月資金化が遅くなることとなります。そうすると、今までよりも3ヶ月間は余分に運転資金が必要となるのです。
上の3つの方法をひとつづつ解説します。
① 受取手形として受け取る金額に見合った運転資金を金融機関などの外部から調達する
余分に凌がなければならなくなった3ヶ月分の運転資金を金融機関からの借入金で賄うというものです。 金融機関としては、あなたの会社の経営状況や手形を振り出した得意先の状況などを判断材料に融資の可決・否決を決めます。
条件が揃えば融資を受けることが可能ですが、忘れてはいけないのは、運転資金の借り入れは会社のキャッシュフローを悪くするケースが圧倒的に多い傾向にあります。特に5%以上の金利の場合は、一旦身を引いた方が賢明です。
利用するとしても、金利分、必要資金額をしっかりと計算した上で、申し込むようにしましょう。
② 受取手形をそのまま支払いに回す(裏書手形)
裏書手形で受取手形をそのまま支払いに回すというのは、一見便利な方法のように思えますが、一概にそうとも言い切れないのが現実です。
裏書をするということは、振出人が倒産などをして支払い不能になった場合、代わりに手形代金を支払わなければならなくなるというこ可能性を秘めており、大きなリスクとなります。つまり、裏書はその支払いについて、連帯保証人になるのと同じことになるのです。
このリスクを考えながら裏書をする必要があります。
③ 受取手形を金融機関で割引を行い資金化する
手形割引については、早期に資金化することができますが、その手形の期日までの金利(割引料)を負担することになります。
持ち込みから手形期日までの期間が長ければ長いほど、割引料は高くなりますから、あなたの会社の資金(キャッシュ)を考慮しつつ資金繰りを考えましょう。
まとめ
ということで、今回は、受取手形を受け取った場合の対処法についてお話ししていきました。
多くの経営者の方は、資金繰りを短期的に捉えがちです。
「どうせ受取手形を清算すれば、借入金も清算出来るから、とりあえず凌げるだけの資金があればいい」と。
ですが、そう考えていることは金融機関もお見通しです。
「短期借入れであれば、このくらいの金利でも繰上げ返済すれば問題ないでしょ」
とばかりに、金利の底上げを提示してきます。
そういった借入が何度か続くと、結果的に返済せずに残った借入金が会社のキャッシュフローの「血栓」となっているケースが多いです。
そうならないために、とにかく低金利の破格の融資条件でなければ得策とは言えません。
受取手形の対処法としては、上述した3つの方法がベストな選択肢ですが、受取手形は期日まで保有し全額を受け取る方法も考えることができます。
ファクタリングを活用する方法で、売掛債権を利用した手法です。
ファクタリングは、売掛金を債権ごと売却してしまう手法ですから、最初の割引料さえ支払ってしまえば後腐れありません。
手形割引と似たものとして、「掛け目」という手数料のようなものがかかってきますが、受取手形よりも清算期日が短いことが多い売掛金の掛け目の方が比較的に安く済む傾向があります。そのため、割引の多い受取手形は手形期日まで保有し、全額を受け取りつつ、清算までの運転資金をファクタリングによって賄うという手法です。
掛け目を「損」と捉えるか、「許容範囲」と捉えるかは、あなたの会社のキャッシュの状態を考慮して決めるのが得策です。
管理人タナカが独自調査により『信頼して頼めるファクター』をピックアップしています。
あなたの売掛金で高額な資金繰りが可能かどうか?はファクターにかかっていると言っても過言ではありません。
もし、売掛債権売却(=ファクタリング)によって、あなたの会社のキャッシュフローを改善させたいというご希望があられるのであれば、「実績・得意業種・資金力」の3点を重視してファクター選びをしましょう。