製造業などの中小企業経営をしていると、大型の新設備導入の必要に迫られることがあります。
他社との差別化のためや、時代に応じた作業効率面であったり、導入理由は様々は背景がありますが、大型設備ともなると、その金額も数百万円〜数千万円と大きくなります。
このページでは、設備投資名目で資金調達する際の、金融機関の利用方法や返済期間の設定、融資が降りやすくなる事業計画書のポイントや設備の導入時期について解説します。
新しい機械(約1,000万円)を導入することになりました。
そこで金融機関からの借入をしなければならないのですが、
返済期間をどのようにすべきかわかりません。
何か良いアドバイスをください。
設備投資の借入返済期間は耐用年数が基準
一般的に借入の返済期間は、耐用年数が基準となります。
そこで、まずその導入される機械の耐用年数を確認しなければなりません。
- 顧問税理士に確認する
- 機械を扱っている販売会社に確認する
※一般的に設備資金の返済期間の最大年数は、その機械にもよりますが10年〜15年となります。その範囲内であれば金融機関は融資相談に応じてくれるはずです。
たとえば、1,000万円の機械の耐用年数が10年でしたら毎年100万円ずつ減価償却していきます。また、そのことを事業計画書の中に組み込んでいきます。
設備投資を受けるために設備導入による利益を組み込む
事業計画書作成で特に注意したい2点
- その機械を導入した後、どのように売上高が推移していくのか
- 利益はどのように上がっていくか
上記2点を事業計画署内で、具体的に示すことを意識しましょう。
一番のポイントは、利益から償却額を差引いた場合でも利益額がプラスになるかどうかという点です。
機械を導入しても利益を上げることができなければ投資をする意味合いがなくなりますし、当然、利益を示すことができなければ、金融機関からの融資を受けることも難しくなるでしょう。
新旧設備で仕事がどのように変化するのか比較する
次に、新旧の機械の特性を比較する必要があります。
それぞれの機械の稼動効率やランニングコスト、完成品の品質などの比較です。
これらの比較の中から新しい機械を導入したことによるメリットを1つでも多く見つけ出し、金融機関に提示できるようにしなければなりません。
また、その機械を実際に使用している企業の活用状況を販売会社の社員やカタログ、 業界誌などから情報として取り入れておくべきです。
とにかく、金融機関を説得するのは、経営者本人ですからその導入予定の機械に対する認識を深めなければならないのです。
新設備導入のタイミングも計画的に
機械導入のタイミングですが、経営者の思いつきで導入するのはよくありません。
無計画であれば、金融機関の担当者に伝わります。
(会社の状況にもよりますが)緊急でない場合は、事業年度の中途ではなく、次年度の期首に導入する方が好ましいです。
期首であれば、減価償却費も12ヶ月間フルで償却することができます。
金融機関に対しても次期事業計画書として自然な格好で説明することができます。
自社の財務内容を吟味しつつ導入を決定する
財務内容で気をつけるポイントですが、御社の保有する固定資産の減価償却費が償却限度額いっぱいで計上されているかということです。
税務上は、減価償却額は任意償却ですから100%償却しなくてもよいこととされています。しかし、償却不足が生じている場合は、金融機関の見方としては、キャッシュフローがうまく回っていないという認識になります。
その上、新たな機械を導入することによってさらに償却不足額を生じることがあれば、金融機関の見方はさらに厳しくなります。
また、会社の経営にも大きな影響をもたらすことになりますから、自社の財務内容を慎重に検討してから機械を導入することが何よりも大切です。