あなたは、資金繰りの基本を把握しているだろうか?
資金調達といえば、最初に頭に浮かんでくるのは「金融機関からの借入」でしょう。
しかし、資金調達の手法は、これだけではありませんし、より多くの資金調達の方法を知っていれば、あなたの会社が今後、資金調達の必要性に迫られた時にも、余裕を持って取り組むことができるでしょう。
逆に言うと、経営者であるあなたが、資金調達の方法を1〜2つしか知らないと、その時点で情報弱者となり、金融機関の言いなりになってしまいます。
多くの資金調達法と比較することができませんから、銀行から提示された金利で借入するしかなくなってしまいます。
資金調達は外部からの融資だけではないことを知る
資金繰りと聞くと、多くの経営者の方は、外部からの資金調達をイメージします。ですが、資金繰りの根本は「会社内のキャッシュを捻出すること」です。
つまり、現金を借入しなくとも、キャッシュを生むことができれば、それは資金繰りしたことと同じ効果が見込めます。
わかりやすいところでいうと、「経費削減」もそのひとつです。
支出を減らすことによって、結果的に会社に残るキャッシュを増やそうという考え方ですね。
しかし、経費削減は社員のモチベーションを下げてしまう効果があります。
数万円〜十数万円のキャッシュは生み出せるかもしれませんが、その金額の割に社員の不信感を買うことになるのです。
「うちの会社やばいのかな・・・」
「一生懸命頑張って仕事してるのに、エアコンの温度まで指定されるなんて(怒)」
と、不満や不安が直で出てくるのが経費削減ですね。
売掛金・買掛金のコントロールで資金繰りする
(私が多くの経営者の方に申し上げていることですが)一度見直していただきたいポイントは「売掛金・買掛金の管理」です。
あなたの商売が飲食などの現金商売でないのなら、物を販売してから売上代金の入金があるまでに時間的なズレが生じるはずです。
その時に、売上は一旦、「売掛金」として計上されます。
そして、商品や材料の仕入れをしてから、その支払いをするまでの間は「買掛金」が発生します。
この、収入も支出も、時間的なズレが生じるというところがミソなのです。
具体的に言うと、商品を売り上げてから入金まで2ヶ月の期間があるとします。この2ヶ月間は、会社に売掛債権として計上されていますね。
そして、売上と同時に商品の仕入れをしたとします。この仕入れ(買掛金)の支払いが1ヶ月後だった場合、資金は1ヶ月早く支払いが発生することになります。この金額が大きくなればなるほど、会社の体力(保有キャッシュ)がモノを言うようになります。
100万円ほどなら1ヶ月の回収サイトに耐えられる会社もあるでしょうし、1000万円でも平気な会社もあるでしょう。
つまり、プールしているキャッシュが大きければ大きいほど、会社の今後を左右するような大きな仕事にも対応ができますし、小さいと対応できず、いつまで経っても自転車操業のように目の前の仕事しかできなくなります。
ですが、先ほどの逆で、売上げの入金が1ヶ月後、仕入れの支払いが2ヶ月後の場合の資金繰りはいかがでしょうか?
この場合は、資金が1ヶ月早く入ってくることになりますから、資金繰りの必要はなさそうです。
このように、「売掛金の回収サイトは短ければ短いほど」「買掛金の支払いサイトは長ければ長いほど」資金繰りは楽になります。
つまり、売掛金・買掛金の管理で外部から資金調達をするのと同じ効果を得ることができるというわけです。
売掛の入金と買掛の支払いのスキームをコントロールすることによって、本来であれば受注できないような大きな仕事の受注もできるようになるだけでなく、1ヶ月(場合によっては数ヶ月)の余剰キャッシュを生み出すことができる手法なのです。
この売掛金・買掛金コントロールは是非身につけておきたいスキルです。
在庫コントロールで資金繰りをする
次に挙げられるのは、「在庫管理」です。
あなたの会社が保有している在庫は会社の資金の塊であると言えるでしょう。
会社の倉庫に在庫がたんまりとあるのなら、それは倉庫に資金がたんまりとあるのと同じことです。
言うまでもなく、売り切ることができない過剰在庫は資金繰り悪化の原因に繋がります。
会社の懐と営業力に最適な在庫量に合わせることが大切です。
先日、私のところに相談にいらした会社経営者(卸売業)の佐藤社長の場合はこうでした▼
数年前、会社の業績が右肩上がりだった頃に、余剰のキャッシュが1000万円ほどできたそうです。
そして、そのキャッシュを元手に普段よりも大量買い付けすることで原価を安く仕入れることに成功したのだそうです。
多くの方がここまで聞けば想像できるでしょうが、この大量仕入れの大半が売れ残り、佐藤社長の会社の財務を圧迫していました。
言うなれば、この在庫こそが会社のガンです。
私は、社長に「その在庫を叩き値でもいいから処分してしまいましょう」とアドバイスしました。
が、社長は「いや、この在庫は時間をかければ捌けるものですし、これからもこの商品の取り扱いはしていきますので・・・」と処分しようとはしません。
ですが、会社のバランスシートからキャッシュフローを見ても、この在庫さえなければ健全に回っている状態です。
この在庫が財務を圧迫し続け、本来は必要ではない資金繰りを佐藤社長にやらせています。その「必要ではない資金繰り」の金利を払い続けなければなりませんし、計算してみれば、在庫を損切りする金額と借り入れの金利のどちらが得か?は明白でした。
このままでは過剰在庫のために働いているも同然です。
そのことを説明し、これからの会社を考えるのであれば・・・と説得し、在庫の処分に踏み切っていただきました。
会社の身の丈に合わない在庫は、会社の血管を圧迫するだけです。
そのまま持ち続ければ、やがて血栓となり大きな歪みを生み出すでしょう。
そうなる前に、すっぱりと切ってしまった方が良いという例でした。
まとめ
ということで、今回は、外部調達しなくても会社内でキャッシュを生み出す方法についてお話ししました。
支払いサイトのコントロールや、在庫管理の他にも、「増資」や「社債の発行」なども考えられますが、これらの方法は会社の財務内容が極めて良い会社が対象となります。こちらに関しては、また機会を作って記事に書き起こします。
私は、資金が必要だという状況を目の前にして、安易に追加融資を申し込むことに反対派です。
なぜ資金が必要なのか?なぜキャッシュが枯渇しているのか?という根の部分を考えていくと、実は、キャッシュが回らないという「現象」の一歩前に原因があることが多いからです。
ちなみに、追加融資を受けるのであれば、金利を5%未満に止めるようにしてください。
多くのケースを見てきていますが、5%以上の金利で借りる事業資金はガンになる可能性が高いです。
5%以上を提示された場合には、一度踏みとどまって他の方法を考えてみるようにしましょう。
そして、追加融資を否決されたあなた。
あなたは、実は、無理な融資にストップをかけられてラッキーだったかもしれません。
「売掛金・買掛金のコントロールで資金繰りする」でもお話しした通り、あなたの会社が抱えている売掛金サイトをコントロールすることで現金化することもできます。多くの売掛金を保有している場合に有効な手法が「ファクタリング」です。
ファクタリングは、借り入れのように返済の義務があるものではありませんし、売掛債権を現物として売却するシステムですから、現金化のスピードも早いのが特長です。
ファクタリングはファクター(業者)選びが大切になってきますから、私のサイト内では独自調査で厳選したファクターのみをピックアップしています。
一度、あなたの資金繰りの一つの手段として取り入れてみてはいかがでしょうか?
⇨参考:なるべく簡単にわかりやすく!「ファクタリング」を徹底解説!
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