「税金って無駄でしょ!」なんて言いながら、法人税を節税するために、役員報酬で全て還元している経営者の方、かなりいらっしゃいます。ですが、実はこの手法って、いざ会社に資金が必要になった時には危険性を含んでいるんです。
法人税と所得税の比較
経営者の多くは、法人税の支払いを嫌がり、役員報酬を多めに取って、決算時に利益の計上をしません。
ですが、こうすることで、いざという時の資金繰りに行き詰ることがあります。
以下は、役員報酬と法人税の関係性を表にまとめたものです。
社長給料
(A)会社利益
(B)個人税金
(C)会社税金
(D)社会保険
(E)負担計
(F)=
(C)+(D)+(E)100万円 887万円 0万円 231万円 27万円 258万円 200万円 773万円 9万円 193万円 54万円 256万円 400万円 546万円 26万円 137万円 108万円 271万円 600万円 319万円 52万円 80万円 162万円 294万円 800万円 95万円 94万円 24万円 210万円 328万円 1,000万円 △122万円 143万円 0万円 245万円 388万円 1,200万円 △339万円 198万円 0万円 278万円 476万円 各列の説明
(A):社長の給料年額
(B):社長給料・社会保険料控除後の会社利益(△は損失)
(C):社長の所得税、住民税の合計
(D):会社の法人税、住民税、事業税の合計
(E):健康保険・厚生年金保険料の合計(労使合算)
(F):(C)、(D)、(E)の合計出典:羽毛田公認会計士・税理士事務所
そもそも、1000万円の計上の仕方によって、支払う税金の金額が大きく変わってきます。
上述した通り、経営者の方の多くは、会社の利益を多く残すと法人税が多く取られる!と思い込んでいますので、あまり考えずに役員報酬で手堅く懐に収める・・・という手法を取ります。
が、上記表をご覧いただけばわかりますが、社長給料(A)200万円/会社利益(B)773万円の時が、一番支払う税金を安く済ませることができます。
さらに、このことで今後の資金繰りも大きく変わってきますので、そのことについてもお話ししていきたいと思います。
銀行は体力のない会社には金は貸さない
「資金繰り」というと、一番に思いつくことは「銀行融資」になるかと思います。が、資金繰りにも方法論が存在します。
ここでいう「体力」というのは、会社のキャッシュです。
前項のように役員報酬を多く取り、会社の利益計上を抑える事は一見頭のいい方法に思えるかもしれませんが、実は、追加融資の時には大きな不利益となってしまいます。
銀行があなたの会社の資産状況、経営状態を判断するのは、決算書内での事です。いくら社長が儲かっていたって、銀行が金を貸す相手は、社長ではなく会社ですから、会社の利益が毎期ごとに落ちていない事には、金を貸せません。
法人税をケチる事で、結果的に税金を多く支払っているばかりか、会社は痩せ細っていきますので、先細りの経営となってしまいます。
資金繰りの難易度を上げないためにも裏付けのある計上を
会社を、役員や社員が寄ってたかって食い物にしていたのでは、その会社はいずれ潰れます。
会社は、みんなで育てていかなければならないものですので、健全なキャッシュフローこそが会社の血となり肉となります。
「金はあるんだから、資金繰りの予定なんてないし、これから先もたぶん必要ない!」
そんなことはありません。
会社がステップアップするためには、いずれ大きな投資をしなければならないタイミングがあります。
- 優秀な人材を雇うための投資
- 仕事の枠と広げるための設備投資
など、業種によって様々ですが、これからもあなたの会社で戦っていこう!と思うのであれば、必ずタイミングは訪れます。
その時のためにも、会社の体力をつけておくことが大切です。