こちらは、シリーズでお送りしている『バランスシート攻略術』の第5回目の記事です。
前回の記事はこちら|バランスシート攻略術④ 予測不能⁉︎貸し倒れが発生した時の対処法
今回は、バランスシート(賃借対照表)の中でも、特に「利益不足」にフォーカスを当てて解説していきます。
- 売掛金
- 在庫管理
- 設備投資
- 貸し倒れ
- 利益不足 ⇦イマココ!
- 経費
経営者の方であれば当然ご理解していることを承知で申し上げますが、利益を上げることは商売の基本です。むしろ、ボランティア団体でもない限り、利益を上げるために商売をしていると言っても過言ではないでしょう。
そのはずなのに、いつも資金繰りが大変で利益不足に陥っている・・・という経営者の方も少なくはありません。
銀行が言う「利益償還」とは?
銀行の融資担当者との面談で「借入金の利益償還が不足しているので、格付けが悪くなります」と言われました。
利益償還とはどういう意味でしょうか?
当社の資金繰りが苦しい原因と直接関係があることなのでしょうか?
このご質問に答えるために、まずは、簡単な例でご説明しましょう。
あなたがこれから商売を始めるとします。
売り物は肉でも魚でも野菜でもいいのですが、露店を開くと仮定しましょう。
商売を始めるには元手が必要ですね。
そこであなたは銀行へ行き、元手資金として100万円を借りました。1日商売が終わるたびに10万円ずつ、計10日間で返す約束をしました。
あなたは借りた100万円を持って卸売市場に行き、野菜を100万円分仕入れます。
それで露店を開き、120万円で完売しました。
利益は20万円ですね。
この中から銀行へ返済分10万円を返し、残った10万円を自分の取り分としました。
翌日も同じように100万円で仕入れ、120万円で売り、銀行に10万円返済、10万円を取り分に・・・と繰り返し、10日目で約束通り銀行の借金は完済しました。
ところで、もし何かの間違いで利益がでなかったらどうなるでしょうか?
例えば、100万円で仕入れたのに80万円でしか売れなかった場合、銀行への返済10万円をしてしまうと、翌日に使える仕入れ代金は70万円しかなくなりますね。
これでは翌日以降、商売が細ってしまいます。
もちろん、自分の取り分も確保できません。
これが翌日以降も続いてしまうと、やがて資金が底をついてしまいます。
「何を今さら!」とお怒りの声も聞こえてきそうですが、
実は、大半の会社の資金繰りの悪化は、上述した例と同様の仕組みで起こるのです。
例の通り、借り入れは原則として利益の中からしか返済できません。
このことを銀行の担当者は「利益償還」と言ったのです。
「利益償還不足」とは、「借り入れの返済をするだけの利益が出ていないので、返済能力が不足している」という意味なのです。
あなたの事業では利益と返済のバランスは取れているか?
冒頭でも言いましたが、そもそも企業経営は、利益を出すために行っていると言っても過言ではありません。
赤字の会社は、まず黒字体質に変えることを最優先で考えなければなりません。
それは事業の根幹に関わる問題なのです。
赤字が続けば、返済ができなくなるどころか、会社の存続さえ危ぶまれてしまいます。
あなたは、ご自身の会社が1年間にいくらの借り入れ返済をしているか?を即答できるでしょうか?
そして、その返済額は利益償還の範囲内に収まっているか?を把握されていらっしゃいますでしょうか。
ぜひ一度、確かめていただければと思います。そして、利益償還不足であるなら、どうすればいいか?対策を考えていただきたいのです。
利益強化は経営者の旨味でもある
現実の決算書では、「減価償却」や「引当金」など、専門的な会計項目が存在します。
それらの要素は調整を加えた上で考えなければなりませんので、顧問の税理士などの専門家に相談していただき、自社の借り入れ返済能力(=利益償還)を知っていただくことが先決でしょう。(この辺りの詳細については、また後日記事にしようと思います)
いずれにしろ、利益を上げ財務体質を強化していくのは経営者の責務と言えます。
利益がなければ会社は存続できませんから、いかに利益を上げるか、経営者の力量はここにかかっていますから、知恵の出しがいがあるというものです。
まとめ
ということで、今回は、第5回目のバランスシート攻略術として「利益不足に陥る原因と考え方」について解説しました。
あなたのビジネスでは利益は順調に出ていますでしょうか?
もしかしたら、昔の私のように、利益は出ていても資金調達に追われていませんか?
私は20代で設立した会社では、毎日資金繰りに追われていました。社長の本業は資金繰りだと思ってしまうほどにです。
今考えても辛い日々でしたが、今なら「あの時の壁を乗り越えたからこそ今の経営がある!」と断言できます。
資金調達にも様々な手法がありますが、一般的に融資による資金調達はかなり練った計画の上でなければバランスシートの「負債」となり、会社の利益を圧迫します。
当ファクタリング研究所がご紹介している「ファクタリング」であれば、負債とはならず「売上」として計上できる資金繰りが可能です。
一度検討されてみてはいかがでしょう。
次の記事はこちら|バランスシート攻略術⑥ 経費の“見えない支出”に注意!
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