このページでは、2017年に破綻した「てるみくらぶ」から、キャッシュフロー経営の重要性や資金調達法を学ぶための情報をまとめています。
記憶に新しい「てるみくらぶ」の債務不履行による倒産ですが、すでに少なくとも3年前から粉飾決算をして黒字計上していたと言います。
151億円の負債と聞くと、中小企業には遠い話にも聞こえてしまいそうですが、実は、我々中小企業経営者にとっても何も他人事ではありません。
こういった「薄利」なビジネスモデルほど、キャッシュフローをスピーディーに回していかなければ、このような結果となってしまいます。
てるみくらぶの一連の騒動まとめ
まずは「てるみくらぶ」の事件についてまとめておきます。
事の発端は、2017年3月27日に「てるみくらぶ」が東京地裁に破産を申請し、認められたことに始まります。
これにより、「てるみくらぶ」から海外ツアーなどの申し込みをした客の航空券が発券できなくなるなどのトラブルが相次いでいます。
既に旅行代金を支払っている一般旅行者の決済金 = 最大9万人分のツアー代金(約100億円)の全額返済は厳しい見通し。
資金繰りの悪化から事業の継続を断念。
東京地裁から破産手続きの開始決定を受ける。
3/24 から、主催するツアーの航空券が発券できなくなったり、ホテルが予約ができていなったりするトラブルが相次いでいた「てるみくらぶ」
ツアーを利用している客の声は・・・
飛行機が取れていない、ホテルも取れていない
という事なので諦めて帰ります・・・
ホテルは取れていない模様。
やり方がわからないから行くか悩んでいる
旅慣れしている方ならまだしも、航空券やホテルがパックになっている「ツアー」に安心感を感じて契約をしている客にとっては、言語アレルギーもあって、かなり辛い状況。
しかも、現地のホテルが取れていない(キャンセルされている)ので、ツアー代金+追加のホテル代と、費用もかさみます。
「てるみくらぶ」の予約代行の韓国の旅行会社 ⇨ ホテルをキャンセル
てるみくらぶを利用して釜山のツアーへ参加した女性は、現地入りしホテルへ到着後に異変に気付いたと言います。
ホテルの部屋がキャンセルされていました。
ホテルからは、自分たちは支払いを受けていないから予約をキャンセルしたと言われました・・・
韓国の旅行会社『自分たちはてるみくらぶからの支払いを受けていないから、泊めることができない』とのことで、ツアーに参加した女性は、自身でホテルの取り直しをし、それに関わる費用も自己負担。
「てるみくらぶ」山田社長
破産手続き開始の申し立てにより、お客様や債権者の皆さまにご迷惑をおかけすることを深くおわび申し上げます。
一昨年前の春から、新聞広告を打ち出しておりまして、一言で言うと、やはり媒体コスト(経費)のかかり過ぎということが言えると思います。
と、涙とともに弱々しい声で会見をした。
韓国の旅行会社は現在「てるみくらぶ」から約1億円の支払いが未払いになっていると証言しているそうです。去年4月頃から売掛金の支払いが遅れるようになっていたと言います。
さらには、3/23 に航空券の発券に必要となるIATA(国際航空運送協会)への支払い日だったが、支払い額であるおよそ4億円が用意できず破産申請に至ったということです。
てるみくらぶの元社員の証言
てるみくらぶの元社員の方がインタビューに答えていましたが、その内容は薄利なビジネスモデルを露呈するものでした。
契約を維持するために、少し無理な価格設定やツアーを組んだりすることもあったと言います。
4億円の支払いができないと気付いたのは前日
23日のIATAへの支払いができないことが発覚したのは、前日の22日だったと言います。
しかし、メルマガの配信やその日の新聞広告にも広告掲載がされていたことなどから、「経営悪化を隠しキャッシュを集めていたのでは?」という声も上がっていました。が、山田社長は・・・
とのこと。
問題は、破産手続き後に、既に決済済みの旅行代金がどうなるのか?ということですが、このキャッシュは「売上金」として計上された上で、破産手続きが進められます。
合計で151億円もの負債額があり、その内の約100億円が決済済みの旅行代金とのことですが、日本旅行業協会から支払われる弁済補償金の限度額は1億2000万円とのことです。わずか1%にしか満たず、ツアー代金の全額返済は“厳しい”ということになります。
てるみくらぶが現在、決済済みの客へ呼びかけている内容は・・・
すでに航空券を受け取っていても現地でホテルへ宿泊できないなどのトラブルに見舞われる可能性があるので出国を控えるようお願いいたします。
すでに出国をしている客については、「自力で対処してもらうしかない」ということ。
融資を受け続けるための粉飾決算
冒頭でお話しした通り、「てるみくらぶ」は3年前から粉飾決算を繰り返していたようです。
破産手続開始申立書によると、2014年9月期には既に大幅な赤字だったとみられますが、航空券の仕入れや営業にかかったコストを少なく計上することで、決算書では黒字を装っていたということ。
また、最後の決算となった2016年9月期の決算書上では、1億1000万円の営業黒字を計上していたにも関わらず、実際には15億円以上の赤字に陥っていたようです。
さらに関係者の調査では、融資を受ける銀行や旅行業の更新登録をする観光庁など、提出先によって内容の異なる複数の決算書を作成して提出していたようです。
破綻のきっかけとなったのは、IATAへの4億円のまとまった資金が準備できなかった事が直接の要因ですが、それ以前から既にキャッシュが枯渇していた事がわかります。
営業的に契約を継続し続けなければならないツアーなども存在し、且つ、受注を受け続ける事で実質赤字だったとしてもキャッシュが回り続ける仕組みを作り出し、問題を先送りにしていた背景が見て取れます。
この粉飾決算の狙いとしては、「資金調達」の間口を確保しておく事でしょう。
黒字決算すれば、当然ながら支払わなければならない税金が出てきますが、それを差し置いてでも、金融機関から資金を引き出さなければ経営が回らなかったのでしょう。
「てるみくらぶ」から学ぶ資金繰り
「てるみくらぶ」にもそれ相応の経営コンサルや資金調達コンサルが入っているでしょうから、内部では報道では見えない施策が多分にあったでしょう。
ここでは、報道で得られる情報をもとに、私が資金調達コンサルとして監査していたら、どうしていたか?をお話しします。
まず、151億円の負債というのは、破産手続きが受理された後に決算書内の負債の合計額となりますから、キャッシュが血液のように巡っているうちは、この全てが負債とはなりません。
会社は、このように血液が止まった瞬間に負債が膨らむものです。
では、実際の負債額はどの支払いだったのかというと・・・
- IATAへの支払い4億円
- 韓国の旅行会社が証言している未払いの1億円
- その他にもあるであろう提携旅行会社への未払金
IATAへの支払いのための資金調達を失敗したことで『キャッシュが詰まり ⇨ 破産』というのが、直接の原因です。
提携旅行会社への未払金に関しては「買掛」扱いでしょうから、相手企業が待っている間は倒産の直接原因とはなりません。
IATAへの支払いが不可能であることに気づいたのが前日で、4億円ものキャッシュをわずか1日で準備するともなると、その手段も相当に限られてきます。
その限られた時間と手段の中で、4億円の資金を準備することができていれば、「てるみくらぶ」は倒産せずに済んだでしょう。
キモとなるのは100億円にも昇る「売上金」
弁済が不可能と言われている100億円を超えると言われる売上金があるにも関わらず、なぜ倒産するのか?と思われる経営者の方もいらっしゃるでしょう。
この売上金のうち、純利益となるのはおそらく5〜10%ほどであると考えられます。20万円のツアーの申し込みであれば、最大2万円程度の利益であるということです。
この薄利なビジネスモデルを展開する上で大切なのは、キャッシュフローの良さを仕組み化することです。
概算ですが、『100億円の売上=利益10%=利益10億円』ということになりますが、ネットショッピングが習慣化された現代において、その売り上げの決算方法のほとんどはクレジットカードによるものでしょう。
つまり、てるみくらぶ側から見れば「売掛金」となっているわけです。
当サイトで勉強していただいている方であればピンとくるでしょうが、売掛金はまだキャッシュになっていませんから、それを現金化するまでにラグがあります。
そのラグ(売掛サイト)の間、待てるだけの体力がなかったということなのです。
この資金の山である「売上金」を資金化することができれば、てるみくらぶが倒産することはなかったのです。
売掛金を現金化する資金繰りの手法
「てるみくらぶ」の件で言えば、1日で4億円の資金を外部金融機関から借り入れてくることは不可能に近いです。審査すらしてもらえないでしょう。
クレジットカード決済の売掛金を現金化することはできたはずなのです。
てるみくらぶの資金調達コンサルタントは、ファクタリングを理解していなかったのでしょうか? ファクタリングであれば、1日の期間があれば4億円を数社に分けて調達してくることも可能だったでしょう。
会社は資金が回っているうちは、内外ともに(社長ですらも)経営状態の真実に気づきにくいのです。ですが、経営がストップした瞬間に151億円などという現実離れした数字が負債額として残ります。
売り上げだったものも「負債」となるのですから、当然といえば当然ですが、この数字を見て一番驚かれたのは当事者である山田社長自身だったのではないでしょうか。
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