資金繰り表は、金融機関からの提出を求められて、融資付けのためにはじめて作成する会社が多いです。
そのためか、金融機関に提出をしたら、そのままそれで「おしまい」という経営者の方が非常に多いように感じます。
ですが、資金繰り表の中には、あなたの会社のキャッシュフローを改善させるためのヒントがたっぷりと組み込まれていますから、作成をしてから放置してしまってはもったいないのです。
そこで今回は、資金繰り表の経営に役立つ効果的な使い方を伝授していきます。
金融機関提出用以外の資金繰り表活用法とは??
融資申込のため、資金繰り表を作成して金融機関に提出しました。
しかし、他の利用方法がわからないので、そのあとは特別なにも利用していません。
金融機関に提出する以外に資金繰り表を利用する方法はないのでしょうか?
この質問を頂いたからこそ、今回の記事を書こうという動機になったのですが、確かに資金繰り表は金融機関に提出する書類として大切なものです。
しかし、冒頭でもお話しした通り、資金繰り予定表を作成する目的は金融機関提出用だけではありません。
逆にそれだけの目的だとしたら、資金の借入を行った後は、何のチェックもされないまま会社が運営されているようなものです。
それでは、資金繰り表を活用できているとは言えません。
ですが、活用の仕方がわからずにお困りのようですから、4つの活用方法を箇条書きでお伝えします。
- 融資を申し込むタイミングを予測する
- 資金ショートの対応策を講じられる
- 計画的な会社運営の第一歩となる
- 決算予測に利用
では、上記の4ポイントをわかりやすく解説していきます。
融資を申し込むタイミングを予測する
資金繰り予定表を作成すると、いつの時点で資金がショートするのかが大体わかるようになります。
例えば、毎年繁忙期直前には大きな受注を受けていることが資金繰り実績表から読み取れたとします。そして、そのサイトが3年連続など、定期的であるならば、きっと今年もそうなるであろうことが予測できます。売上は売掛金として、2ヶ月のサイトがあるのに対して、材料や仕入れの支払いは1ヶ月サイトになっている。
つまり、この1ヶ月のズレを早く予知することができます。
資金がショートする直前に融資を申し込むのではなく、あらかじめ期間的に余裕を持って申し込むことができるというわけです。
こういった、時間的な余裕は金融機関の信用力の向上にも繋がりますから、あなたは銀行から「信頼のおける社長だ」と、金利優遇される可能性も出てくるのです。
いつも、救急な資金繰りに追われている経営者と、キャッシュを豊かに持った経営者の違いは、実はこういった資料を活用しているか否かの小さな差だったりもします。
資金ショートの対応策を講じられる
融資の申し込みもそうですが、あらかじめ資金がショートすることが分かっていれば、そのほかの対応策を講じることも可能です。
例えば、2ヶ月後に資金がショートすると予測したならば、入金の滞っている取引先に対して、回収のアクションを起こしたり、売掛金の回収を早めたりと数多くの手を打てます。
つまり、資金がショートしないように、資金を確保する時間的余裕ができるというわけです。
資金繰りと時間との関係は非常に密接で、「Time is Money」という言葉がピッタリと当てはまります。
早い段階で、資金のショートに気がつけば、それだけ多くの資金繰りの手法を試せることになります。
しかし、逆に1ヶ月以内などの急な資金繰りとなってしまえば、打てる策は非常に限られています。
金融機関への追加融資の書類をかき集めなければいけない。売掛金の回収をするにしても当月の回収は難しそうだ・・・となります。
これが、期限が1週間ともなれば、金融機関の審査はもう待てません。ファクタリングで売掛金を売却するか?それが叶わないのなら、もはや、キャッシングで対応するか、家財道具を売却するか?と、対抗策がどんどん貧相なものになります。
計画的な会社運営の第一歩となる
ご存知の通り資金繰りは、会社の経営において重要度が高い業務です。
その業務が予定に基づき行われていると、他の業務についても計画性が伴ってきます。
逆を言うと、資金繰りに計画性がない会社というのは、仕事にもおいても計画性がない会社が多いのです。
つまり、計画的な会社運営をするためには、資金繰りを計画的に行うことは非常に大切なのです。
まずは、目の前の資金繰り表を活用することで、あなたの会社経営そのものが向上していく・・・こう考えることで、あなたの資金繰り表を見る目も変わるのではないのでしょうか?
あなたは、いつまでも資金繰りに切羽詰まった会社と、豊満なキャッシュフローを抱えた会社と、どちらの社長になりたいですか?
決算予測に利用
資金繰り予定表の作成において、売上の入金予測や予定減価率、変動費・固定費の数字を決めていきます。
この数字は、期間的なズレはあるとしても、財務諸表の予測データとしても流用できる数字となります。
つまり、資金繰り予定表を作成する過程で、その期の予測損益計算書を作成することも可能なのです。
もちろん、その予測損益計算書から納税額の予測を算出することもできます。
そして、最終的には予測納税額を資金繰り予定表に反映させることにより、より完璧な資金繰り予定表を作成することが可能になります。
まとめ
ということで今回は、資金繰り予定表の効果的な使い方について解説していきました。
これだけの活用法があり、且つその効果も多大で偉大です。使わない手はありません。
むしろ、大げさに言えば、社長の仕事はこれだけかもしれません。
しっかりと、計画性を持った資金繰りができるということは、それだけ会社の未来を見通せているということに直結していますから、会社はどんどん安定していくでしょう。(もちろん、業績もキャッシュフローも資金繰りも)
当然、理想通りの形にはなりませんが、なるべく理想の形へと成るように運んでいくことが経営です。
中小企業は特に、社長の手腕が大きく影響しますから、ぜひやりがいを持って、資金繰り予定表とも向かい合ってみてください。