決算書の重要ポイント|収益性に関する指標をコントロールするべし

決算書の中には、”御社の全て”が記載されています。

つまり、決算書の中身を完全に把握し、さらに、それらの数値をコントロールすることができれば、すなわち会社の資本や利益をもコントロール可能とも言えます。

このページでは、一見むずかしく思える決算書の中身について、図や表を多用しつつ、なるべくわかりやすく解説しています。

診断士さやか
こんなご相談をいただきました♪
相談者
先日、セミナーに参加し、資金繰りに役立つ決算書のポイントを学んできました。
そこでの話は、安全分析に関する事でしたが、その他に決算書でポイントとなるところはありますか?

決算書上の企業格付けを上げる手法|数値が低いと融資が通らない!

決算書の最大ポイント「収益性に関する指標」

決算書でポイントとなるところは、財務分析の中の安全性の他にもたくさんあります。

その中でも代表的なものが、「収益性に関する指標」です。

会社の資金繰りをよくするためには、利益を獲得することが一番の方法です。その利益を獲得する能力を計るための指標が、「収益性に関する指標」なのです。

  1. 売上高経常利益率
  2. 総資本経常利益率
  3. 自己資本利益率
  4. インタレストカバレッジレシオ

上記4項目が「収益性に関する指標」の主要項目です。そして、この4つの指標に大きな影響を与えるのが経常利益です。

収益性に関する指標に影響を与える「経常利益」

経常利益は、その会社の実力が表されている数字です。しかし、経常利益を上げること自体が、非常に難しい課題と言えます。

経常利益を最大化するための努力は前提としたうえで、それ以外の部分でも指標を良くできるものがあります。たとえば、売上高の増加です。

ただし、売上高の増加も経常利益を上げるのと同じくらい難しいものでもあります。

しかも、近年売上高の減少に悩んでいる経営者も多いようです。そこで、必要なのは発想の転換です。

発想の転換で数値的な「売上高の増加」を狙う

“売上高経常利益率”「経常利益÷売上高×100」という計算式で計算します。

たとえば、同じ経常利益だった場合は、売上高が少ないほうが有利に計算されます。つまり、目指すのは効率的な経営です。

限られた売上高の中で、原価管理の工夫と経費管理の工夫を行い、最大の経常利益を上げられるようにする事です。この経営スタイルは、少ない資金で効率的に会社を運営することにつながります。

また、総資産を圧縮する事で「収益性に関する指標」“総資本経常利益率”を良くする事ができます。

総資本経常利益率とは

総資本とは、会社が所有している資産の総額をいいますが、決算書では貸借対照表の資産の部の合計です。

では、 総資本を圧縮するためにはどうしたら良いのでしょうか。

まず、やるべきことは資産の部に計上されているものを把握する事です。そして、圧縮できるものを検討していきます。

資産の部に計上されている項目別に圧縮を検討する
資産の項目チェック項目
売掛金不良債権が混ざっていないか
残高がある場合は値引きや債権放棄などで帳簿から落としているか
棚卸資産 不良在庫はないのか
不良在庫を処分しているか
固定資産使用していない資産がないか

上表を参考に自社の賃借対照表を見直してみてください。

ただし、注意すべき点は、これらのものを圧縮すると経費・損金に計上され、一時的に決算書が悪化する可能性があります。しかし、これらのものを圧縮することで確実に効率的な資金運用が可能になります。

効率的な資金繰りを目指すのであれば、貸借対照表は圧縮された形が望ましいです。

つまり、少ない負債・純資産で、少ない資産を有効に利用し、利益を獲得することを理想とします。そのためには、無駄な資産を保有することや過大な借入などは極力避けるべきです。

事業拡大を目指していく過程で、どうしても貸借対照表は大きくなりがちですが、常にこうした「圧縮する」という意識をもって経営にあたることで、徐々にですが確実に会社のキャッシュフローは良くなっていきます。

 

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