キャッシュフロー計算書を作成する際に入れておくべき項目と、それぞれの項目の考え方などの解説をします。
前回の記事(キャッシュフロー計算書の雛形)でもお伝えした通り、現在実務でよく使われているキャッシュフロー計算書は、間接法によって作成されていることが多いので、「間接法」に則って説明していきます。
キャッシュフロー計算書の項目
キャッシュフロー計算書のサンプル
説明と実務の紐付けがしやすいよう、前記事で作成したキャッシュフロー計算書のサンプルを記載しておきます。
(1)営業活動によるキャッシュフロー | ||
---|---|---|
税金等調整前当期純利益 | 2,000 | |
減価償却費 | 70 | |
退職給与引当金繰入額 | 50 | |
貸倒引当金繰入額 | 10 | |
受取利息及び受取配当金 | -100 | |
支払利息 | 50 | |
有価証券売却益 | -90 | |
役員賞与支払額 | -100 | |
売掛債権の増加額 | -200 | |
棚卸資産の増加額 | -200 | |
買掛債務の増加額 | 460 | |
小計 | 1,950 | |
利息および配当金受取額 | 100 | |
利息支払額 | -50 | |
法人税等支払額 | -1,350 | |
営業活動によるキャッシュフロー | 650 |
(2)投資活動によるキャッシュフロー | ||
---|---|---|
有価証券の売却による収入 | 100 | |
有形固定資産の取得による支出 | -400 | |
投資活動によるキャッシュフロー | -300 | |
(3)財務活動によるキャッシュフロー | ||
短期借入金増加額 | 100 | |
長期借入による収入 | 200 | |
長期借入金の返済による支出 | -50 | |
株式の発行による収入 | 100 | |
配当金の支払額 | -100 | |
財務活動によるキャッシュフロー | 250 | |
(4)現金および現金同等物の増加額 | 600 | |
(5)現金および現金同等物期首残高 | 1,000 | |
(6)現金および現金同等物期末残高 | 1,600 |
実際のキャッシュフロー計算書(間接法)の主な項目は以下の3つです。
- 営業活動によるキャッシュフロー
- 投資活動によるキャッシュフロー
- 財務活動によるキャッシュフロー
上記、3項目に複数の子項目が付きますので、それぞについて解説します。
営業活動によるキャッシュフローの区分
間接法では、「営業活動によるキャッシュフロー」の区分があります。
これは会社の通常の営業活動によって発生したキャッシュの流れを表す部分です。
この区分の最初の項目として、「税金等調整前当期純利益」の数字が入ります。わかりやすく言うと、法人税などの税金を差し引く前の純利益(または純損失)のことを言います。
この「営業活動によるキャッシュフロー」の区分は、会社の本来的な営業に関わる部分についてのものですから、その会社の本業でのキャッシュを生み出す実力が測れることになります。
この区分である程度キャッシュを確保していないと、本業ではキャッシュを生んでいないことになるため、会社の評価は下がることになります。
この区分の当期純利益以下は、損益計算書上では収益や費用などになるけれども、キャッシュの動きがないものを調整する項目がずらりと並んでいます。
減価償却費は、損益計算書上では費用として利益から差し引かれていますが、減価償却を計上したからといって、キャッシュが会社外部に出て行くことはないため、キャッシュフロー計算書では、加算されることになります。
以下、引当金の繰入についても同様の考え方ですので、加算となります。
注目していただきたいのは、「売掛債権の増加」「棚卸資産の増加」「買掛債務の増加」です。それぞれがキャッシュに与える影響は、売掛債権はマイナス、棚卸資産はマイナス、買掛債務はプラスに働きます。
これは、資産管理の基本でもありますから、しっかりと覚えておく必要があります。
投資活動によるキャッシュフローの区分
次に、投資活動によるキャッシュフローの区分です。
これは、将来会社の収益力を確保するための投資をどれだけ行っているかを表す区分で、主な項目としては、「固定資産の取得」などがあります。
投資については、その金額が大きくなるためキャッシュに与える影響も大きいです。
具体的には、この数字が大きいとキャッシュは少なくなります。しかし、ここに数字がない場合にも注意が必要です。ここに数字がないということは、将来への投資をしていないということができ、将来的な収益を確保できるのか不安を隠せません。
財務活動によるキャッシュフローの区分
最後の区分が「財務活動によるキャッシュフロー」の区分です。
この部分は本業の「営業活動のキャッシュフロー」や「投資活動によるキャッシュフロー」の状況を踏まえて会社がどのように資金調達をしたのか、債務の返済をどのくらい行ったのか?を示す部分です。
当然、借入金などが増えればキャッシュは膨らみます。反対に、、返済を進めればキャッシュは目減りします。
大切なのは、前述した2つの区分の結果を踏まえた上で、財務活動としてきちんと資金需要に対する対応ができていたか?ということです。
各区分のバランスを見ると、あなたの会社のバランスそのものが一目瞭然です。
まとめ
ということで今回は、キャッシュフロー計算書の各項目について解説しました。
前回記事と多少重複する部分もありますので、両記事を見比べながらあなたの会社のキャッシュフロー計算書に活かしてください。
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