今回は、『なぜ資金が足りなくなのか?賃借対照表の簡単な見方とその対策』をお伝えします。
経営が順風満帆な会社というのは、キャッシュの蓄えが十分にあります。
会社の資産金といえば、
- 保有不動産
- 有価証券
- 売掛金
などがありますが、前者2つに比べて、売掛金は現金よりもパワーが劣ります。
今回の記事では、賃借対照表とにらめっこしながら、売掛金をいかに早く回収し、会社のキャッシュを増やしていくか?をシェアします。
恐怖!売掛金が多すぎると倒産の可能性が増す!
健全なバランスシートが健全なキャッシュフローを生みます。そして、そのことを意識するのならば、売掛金は少ないに越したことはありません。
潤滑な資金繰りの王道は「回収は早く、支払いは遅く」です。
このことは、経営者の方であれば、もはや感覚でわかっている方が多いでしょう。
ですが、売掛先が突然のリスケをしてきた場合など、キャッシュ不足は突然に起きます。
売掛が増えると、会社の血栓になる可能性が高まり、先ほどお話ししたように、一旦取引先からリスケの申し出があると、途端に回らなくなります。
一度でもこう言った経験がある方であれば、その時の恐怖心を覚えていらっしゃると思います。
管理人タナカが覚悟を決めた「ジャンプ」
実際、私も会社の資金の半分を売掛で回していた当時、数百万円単位の売掛に「ジャンプしたい」という申し出がありました。
会社規模によっては、数百万円くらいのジャンプがあろうが、ビクともしない会社も多いでしょうが、当時は私も20代の若社長で、会社の資本金も極僅かで、会社の体力自体がありませんでしたから、数百万円のジャンプは致命的でした。
相手からジャンプされれば、今度は自分の買掛をジャンプしなければならなくなる。
そうなれば、取引先の信用を失ってしまう。
どこにも迷惑がかからないように、そのジャンプ先の売掛金を担保にして、決済日めがけて追加融資の申し入れをしました。
ところが、その売掛債権が「ジャンプ債権」であることがバレてしまい、追加融資は否決。
このときに私が感じたことは『このままの調子でやっていれば、会社なんて簡単に潰れてしまうぞ・・・』ということでした。
回収を早めつつ支払いを遅くするためにやること
誰しもが自分の会社を潤滑にキャッシュが回る状態にしたいでしょう。
そのためには、会社への入金を早める必要があります。一般に、入金を早めるということは、売掛金を減らすということです。
回収した分だけ売掛金が減り、現金が増えます。
逆に、支払いを遅くするということは、買掛を増やすということです。遅らせた分だけ会社にはキャッシュが貯まっていきます。
この視点から賃借対照表を眺めてみれば、今までよりもわかりやすく読み解くことができるようになります。
賃借対照表を見て分かることは、資金調達を増やし、出て行く現金を少なくすれば現金をより多く残せるということです。
そして、この増えた現金を借り入れの返済に回せば、どんどん返済負担が少なくなり、さらにキャッシュが残るシステムを作ることができます。
こういった好循環のシステムを会社に作ることができれば、あなたが努力をしなくても、会社のキャッシュが回っていくようになります。
一度動き出したキャッシュフローシステムは、自動で会社にキャッシュを入れるようになり、私の場合もそうでしたが、業務内容を大きく変えることなく今までと同じことをやっていても現金が残ります。
つまり、回収を早くし支払いを遅くすることで、会社は本当の価値を発揮してくれるということです。
この逆のことをすれば、当然、悪循環にハマります。
あなたの会社はどうでしょうか?
一度、会社の賃借対照表、並びにバランスシートを確認しつつ、「キャッシュが残るシステム」になっているかを確認してみてください。
あなたの会社の売掛金の金額は正常値か?
あなたの会社の売掛金は、いくらくらいありますでしょうか?
ある相談者のHさんは、自分の会社の売掛金額を調べて見ると、数千万円分もあって、ビックリ飛び上がったと仰っていました。
「この数千万円が手元にあれば、私は毎月資金繰りに苦労することなく、会社を回すことができるでしょう・・・」
ですが、悲観的になる前に一度確認してみましょう。
数千万円という金額は確かに多いですが、「数千万円の売掛金がある=会社の経営状態が悪い」とは一概に言えません。
あなたの会社にとって、その売掛金額が多いか少ないか?は以下の二つの要素と比較することでわかります。
- 昨年対比
- 月商対比
1. 昨年対比
毎年同じような業績であるならば、決算書には毎年同じような金額の売掛金が残るはずです。
もし、売掛金が昨年と比較して極端に増えているようなら、明らかに異常ですので、その原因を究明してください。
どこかのタイミングで新規の大口の取引先ができ、売掛金が増量してしまった・・・などの明らかな原因を突き止めたいところです。
逆に、これといった理由もなく売掛金が増えているようなら問題です。
資金繰りも苦しくなりますし、放っておいたらますます経営を悪化させるガンとなる可能性が高いです。
早急に売掛金を回収する努力に取り掛かりましょう。
2. 月商対比
基本的には、売掛金は少ないに越したことはありません。
ですが、唯一、売掛金が増えても見過ごせるタイミングがあります。
それが、売り上げが急成長している時です。
ちょっと意地悪を言いました。売上が伸びている時に売掛金が比例して増えるというのは、実は当然のことです。
そして、そのことは金融機関なども承知していますから、「正常な売掛金の増加」として判断します。
では、あなたが保有する売掛金が適正かどうか?を判断する基準はどこにあるのでしょうか?
それを簡単にできる方法が、「月照と比較する」ということです。
例えば、「月末締め、翌月末入金」の場合、月末の売掛金残高は、(しっかりと顧客が支払ってくれることが前提で)1ヶ月分です。
「翌々月末入金」なら2ヶ月分が残ります。通常のビジネスの場合、大抵は翌月か翌々月末支払いでしょうから、売掛金残高が月商の2ヶ月分以内なら、まあまあ正常でベターだと言えます。
ですが、これがもし4ヶ月分あったとしたら大問題です!
取りっぱぐれている売掛金があるか、焦げ付いている債権があるか・・・
いずれにしろ異常な数字と言えます。
売掛金を早期に現金化しニコニコ現金商売を実現させる
以前、私自身の会社が資金繰り地獄を経験しました。
その時のことは私のプロフィール記事で詳しくお話ししていますが、毎日の心労が酷く、ちょっと鬱も入っていたと思います。
人間関係は崩れ、結婚はしていませんでしたが、社員との関係、友人知人との関係、取引先との関係はもうズタボロでした。
毎月、駆けずり回って資金繰りをしていたのですが、何度資金繰りをしても、会社のキャッシュフローそのものが改善されることはなく、もはや、私の仕事は資金繰りがメインという感じでしたし、仕事が全く楽しくなくなってしまっていました。
あなたの場合も、会社のキャッシュフローそのものを改善させなければ、当時の私のようになるでしょう。
買掛金の支払いに追われたり、設備投資をした分の返済に追われたり、これらの支払いの属性として、毎月決まったスパンでの支払いが発生し、その支払いの回避方法は、「リスケ」か「繰上げ返済」しかないからです。
毎月、ギリギリの状態で返済ができるかもしれませんが、それは問題の先延ばしに過ぎず、根本の解決は一切されていないのです。
私が、このサイトを運営しつつ、なんとか会社のキャッシュフローを改善させたい!と当時の私と同じような悩みを持った方へ向けてメッセージを発信し続けています。
私の転機となったキッカケがあなたの会社にも当てはまるようであれば是非取り入れてみてください。
私の方法論は、賃借対照表の圧迫をし続ける「売掛金」を長期的観点で削っていくことです。
この売掛金は、会社のキャッシュフローのガンになりやすいからです。
その削る手法として、最も効果的なのが、ファクタリングです。
ファクタリングの詳しいシステムに関しては、こちらの記事を参照してください。
>なるべく簡単にわかりやすく!「ファクタリング」を徹底解説!
そして、ファクタリングを実行するためには、幾つかの手順があります。
ざっと説明するとこんな感じ▼
- ファクターを選ぶ
- 数社に見積もりを出す
- 比較検討し、一番査定額の高いところに債権を売却する
- 決済
ファクタリングをしたその後ももちろん大切ですので、経営思考術の記事を参考にしてみてください。
ファクターの選び方について、こちらでまとめていますので、幾つかのリンクを貼りましたが、まずはこちらの記事からファクターを選ぶことからスタートしてみてください。
あなたがファクタリングを取り入れるかどうかは、査定額を聞いてから判断できます。
まずは、その売掛金がファクタリングの土台に乗っているかどうか?(=取り組みができるかどうか?)を知り、資金繰りの選択肢として並べることができると判断ができてからのお話しになるでしょう。