でんさい(電子記録債権)とは|仕組みをわかりやすく解説

「でんさい(でんさいネット)」とは、(社)全国銀行協会が設立した電子債権記録機関である(株)全銀電子債権ネットワークの通称です。「でんさいネット」は記録原簿を備え、利用者の請求にもとづき電子記録や債権内容の開示を行うこと等を主業務とする、電子記録債権の「登記所」のような存在です。

ここでは、でんさいの仕組みや、でんさいネットを自社に導入する場合のメリットやデメリットについてわかりやすく解説しています。

でんさい(電子記録債権)の仕組み

日銀が公式に解説している文書がありますのでご紹介します。

電子記録債権とは何ですか? でんさいネットとは何ですか?

電子記録債権は、中小企業等事業者の資金調達の円滑化等を図ることを目的に、電子記録債権法(2008年12月施行)により創設された、新しい類型の金銭債権です。
電子記録債権は、電子債権記録機関の記録原簿への電子記録をその発生・譲渡等の要件としており、売掛債権等の指名債権のデメリット(譲渡対象債権の不存在・二重譲渡リスク、債権譲渡を債務者に対抗するために債務者への通知等が必要であること等)および手形のデメリット(支払事務手続にかかるコスト、保管・搬送等にかかるコスト、分割不可であること)を解消し、これらに代わるものとなることが期待されています。

でんさいネットは、正式名称を「全銀電子債権ネットワーク」といい、全国銀行協会が設立した電子債権記録機関です。2013年2月から電子記録債権にかかる電子記録に関する業務を開始しています。

日本銀行公式 「教えて!にちぎん」より

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電子債権記録機関内の流れ

  1. 売掛債権の発生記録
  2. 売掛債権の譲渡記録
  3. 支払い等の記録

債務者/譲渡人の流れ

  1. 発生記録請求
  2. 譲渡記録請求
  3. 口座間送金

でんさいの仕組みを要約すると…

前述の通り「でんさい」は、でんさいネット(正式名称:株式会社全銀電子債権ネットワーク)が、記録機関として運営しています。

利用者は各銀行のシステムを使って、ネット上で債券の譲渡/割引などの取り引きをするのですが、その全てを一括して「でんさいネット」が統括しています。※でんさいネットは全国銀行協会(全銀)が100%出資しており、現在の加盟金融機関は1300を超えています。

 

図式で見ると少しややこしく感じるかもしれませんが、仕組みそのものは至ってシンプルです。

通常、売掛債権を現金化(資金化)しようとした場合、売掛債権の売買契約を実行するか、売掛債権を担保にした担保融資を金融機関に実行してもらう必要があります。

しかし、「でんさい」の場合は、電子債権記録機関である「(株)全銀電子債権ネットワーク」が取引銀行とシステムを共有し、一括して管理していますので、売掛債権所有者側は、一つ一つを管理・契約する必要がありません。

つまり、『100万円の資金調達が必要だ』という場合に、でんさいネットを使い”その場で”資金化することが可能なのです。

 

全銀は信用情報なども扱っていますので、個人の借入や、クレジットカードの利用履歴なども管理している会社です。

でんさいのメリット・デメリット

でんさいのメリット

※でんさいには「支払企業側」と「納入企業側」双方にとってのメリットがあります。

支払企業のメリット
  • 事務負担が軽減
    でんさいはペーパーレスの電子記録債権ですので、押印などが必要なく、手形の発行作業や振替の準備などが簡略化でき、支払処理に時間がかかりません。支払記録もデータとして残るので確認や集計も楽になります。
  • コストを削減
    インターネットで手続きや決済を行なうので、搬送コストを抑えることができます。また、手形の場合は振り出し金額によって印紙税が必要ですが、でんさいは電子記録債権なので、課税対象外となります。
  • 支払手段を一本化
    通常は、手形や振込、一括決済など複数の支払手段があると非効率になってしまいますが、でんさいの場合は、これらを一本化することができるので効率化につながります。
納入企業のメリット
  • 紛失や盗難リスクを回避
    手形の場合は、紛失や盗難の危険性がありますが、でんさいは、実際の持ち運びがないため、そうしたリスクを避けることができます。また、保管・管理の必要が無くなるので、管理コストを削減することができます。
  • 分割・譲渡が容易になる
    手形の場合は、部分的な分割や譲渡ができないため、売掛を自社の買掛に充当したい時には、振出人(債務者)に分割してもらう必要がありますが、でんさいは受け取った電子債権から必要な分だけ分割して譲渡や分割割引をすることが可能です。
  • 取立手続が不要
    でんさいでは支払期日になると、窓口になっている金融機関の口座に自動入金されます。なので手形のように金融機関に持参して申込をするといった、取立手続きをする必要がなくなります。また、支払期日当日に資金化することができます。

でんさいのデメリット

  • 会計処理が変更になる
    でんさいを途中から導入すると、会計処理が変更になるため、一時的に計算がややこしくなる可能性があります。これまでの受取手形や支払手形といった勘定科目が電子記録債権、電子記録債務に変更になるため、慣れるまで時間が必要です。

  • 取引先の協力が必要
    でんさいを利用するには、インターネットの環境を整備して、金融機関(でんさいが利用できる主な金融機関はコチラ)にでんさいの利用申込をする必要がありますが、自社だけが申込みを完了しても使えません。取引先に対してもでんさい利用を促し、協力してもらう必要があります。

  • ハッキング被害にあう可能性がある
    でんさいは電子記録としてインターネットを通して管理されるため、ハッキングによる攻撃を受ける可能性がゼロとは言えません。ネットバンキングでは、フィッシングによる不正送金が問題化していますが、同様のことが起きるリスクがあります。

  • 普及率が100%ではない
    でんさいは新しい決済手段のため、まだ手形のように一般的とは言えない状況です。今後、国や地方公共団体が参加するようになれば、利用拡大が見込まれますが、普及率100%になるまでには時間が必要です。

でんさいには、様々なメリット・デメリットがあります。

長期的に売掛債権を管理し、資金調達の手段として活用する経営方針なのであれば、でんさいネットは大いに活躍してくれることでしょう。

しかし、売掛債権による資金調達が定期的ではなく単発となる場合、そのシステム導入の負担や、会計処理の変更による時間的負担が弊害となると言えます。

 

もし、御社が売掛債権を利用した単発の資金調達を検討している場合には、ファクタリングを利用することで解決できるでしょう。

ファクタリングについての詳しい解説については、ファクタリングの仕組みをなるべく簡単にわかりやすく徹底解説!のページを。

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